思考停止/Brain Freeze
2013年9月26日 MTG コメント (1)
マジックで使われる思考停止という言葉がある。
世間で使われるような固定観念に似た意味とは少し違う。マジックでは、選択の複雑さがプレイヤーの思考の限界を超えて何も考えられなくなる状態のことを思考停止に陥ると呼ぶ。例えば盤面が複雑になりすぎてプレイヤーが選択を行えなくなり手が止まってしまった状態が思考停止だ(そして遅いプレイになっちゃうね)。それはマジックというゲームにおいて最も忌避すべきもののひとつとして挙げられている。
それは何もゲーム中だけに限って起きることではない。例えばレガシーのような膨大なカードプールが存在するフォーマットでプレイヤーが問題無くデッキを構築できているのは、カード評価には過去の活躍が参考になり、検索すればアーキタイプとなるデッキがすぐに見つかり、それまで積み上げてきた歴史があるからである。もし何の前情報も無くレガシーのカードプールに直面したとしたら、ほとんどのプレイヤーはどんなデッキを組めばよいのかわからず思考停止に陥ってしまうだろう。
そしてそれはドラフトでも起こり得る。通常のブースタードラフトでは開発側の工夫によって起こりにくくなっているものの、カジュアルフォーマットでは顕著だ。例えば15枚全てのカードパワーが初手級のMOキューブドラフトの場合は選択肢の評価差が小さい故に、例えば300枚以上ものカードを用いて行うオールカードロチェスタードラフトの場合は選択肢が無数に存在するが故に、その選択の複雑さはプレイヤーの思考の限界を超える。
予め環境を把握した熟練のプレイヤーならば、カード評価の点数化を精密に行ったりアーキタイプとしてカードを捉えたりすることで選択を簡略化し、思考停止に陥らずに選択を行うことは確かに可能だ。あるいは未熟なプレイヤーでも、あくまでもパーティーゲームとして捉えるならば、深く考えずに指運に任せたピックで楽しめるだろう。しかしそのような選択の複雑さが度を超えたドラフトを、思考ゲームとしてきちんと楽しめるプレイヤーはごく一部であり、ほとんどのプレイヤーは付いていけずに思考停止に陥ってしまう(MOでは制限時間と仮ピックのおかげで感じにくいけどね)。
では通常のブースタードラフトにおいて開発側がその問題をどのような工夫で解決しているのかという答えのひとつが、パック内のカードパワー格差である。ボムがあり、中堅カードがあり、そしてアンプレイアブルなカードもあるからこそ、カード評価は容易になり、選択肢は適正な数に保たれ、未熟なプレイヤーでも苦無くピックを行うことができる。パック内のカードパワー格差は、一見プレイヤーがドラフトを楽しむことを阻害しているだけのように感じられるが、その実プレイヤーが思考停止に陥らずにドラフトを楽しめるように影から支えている存在でもあるのだ。
あまりにも選択肢が難しすぎたり多すぎたりする思考ゲームは、未熟なプレイヤーにとっては頻繁に思考停止に陥らせられる苦痛なものに変貌してしまう。人間はある程度の制限に縛られて初めて選択を行える弱い生物であり、制限を失った人間は自由であるが故に選択を行えなくなってしまう。
人生にはレールが必要なのだ。
マジックと全然関係無い場面がきっかけでそんなことを思いました。
マジカルエマージェンシーですかね。
世間で使われるような固定観念に似た意味とは少し違う。マジックでは、選択の複雑さがプレイヤーの思考の限界を超えて何も考えられなくなる状態のことを思考停止に陥ると呼ぶ。例えば盤面が複雑になりすぎてプレイヤーが選択を行えなくなり手が止まってしまった状態が思考停止だ(そして遅いプレイになっちゃうね)。それはマジックというゲームにおいて最も忌避すべきもののひとつとして挙げられている。
それは何もゲーム中だけに限って起きることではない。例えばレガシーのような膨大なカードプールが存在するフォーマットでプレイヤーが問題無くデッキを構築できているのは、カード評価には過去の活躍が参考になり、検索すればアーキタイプとなるデッキがすぐに見つかり、それまで積み上げてきた歴史があるからである。もし何の前情報も無くレガシーのカードプールに直面したとしたら、ほとんどのプレイヤーはどんなデッキを組めばよいのかわからず思考停止に陥ってしまうだろう。
そしてそれはドラフトでも起こり得る。通常のブースタードラフトでは開発側の工夫によって起こりにくくなっているものの、カジュアルフォーマットでは顕著だ。例えば15枚全てのカードパワーが初手級のMOキューブドラフトの場合は選択肢の評価差が小さい故に、例えば300枚以上ものカードを用いて行うオールカードロチェスタードラフトの場合は選択肢が無数に存在するが故に、その選択の複雑さはプレイヤーの思考の限界を超える。
予め環境を把握した熟練のプレイヤーならば、カード評価の点数化を精密に行ったりアーキタイプとしてカードを捉えたりすることで選択を簡略化し、思考停止に陥らずに選択を行うことは確かに可能だ。あるいは未熟なプレイヤーでも、あくまでもパーティーゲームとして捉えるならば、深く考えずに指運に任せたピックで楽しめるだろう。しかしそのような選択の複雑さが度を超えたドラフトを、思考ゲームとしてきちんと楽しめるプレイヤーはごく一部であり、ほとんどのプレイヤーは付いていけずに思考停止に陥ってしまう(MOでは制限時間と仮ピックのおかげで感じにくいけどね)。
では通常のブースタードラフトにおいて開発側がその問題をどのような工夫で解決しているのかという答えのひとつが、パック内のカードパワー格差である。ボムがあり、中堅カードがあり、そしてアンプレイアブルなカードもあるからこそ、カード評価は容易になり、選択肢は適正な数に保たれ、未熟なプレイヤーでも苦無くピックを行うことができる。パック内のカードパワー格差は、一見プレイヤーがドラフトを楽しむことを阻害しているだけのように感じられるが、その実プレイヤーが思考停止に陥らずにドラフトを楽しめるように影から支えている存在でもあるのだ。
あまりにも選択肢が難しすぎたり多すぎたりする思考ゲームは、未熟なプレイヤーにとっては頻繁に思考停止に陥らせられる苦痛なものに変貌してしまう。人間はある程度の制限に縛られて初めて選択を行える弱い生物であり、制限を失った人間は自由であるが故に選択を行えなくなってしまう。
人生にはレールが必要なのだ。
マジックと全然関係無い場面がきっかけでそんなことを思いました。
マジカルエマージェンシーですかね。
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