今年の3月末から本家サイトで週間連載が始まったReConstructedの第一回。

最終項はデッキリストの投稿手順とか次回予告とかなので省略。



一から六十まで/Zero to Sixty
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/rc/188

Gavin Verhey
2012年3月27日



ReConstructedにようこそ!

ReConstructedはデッキ構築,改造,調整に焦点を当てたDailyMTG.comの新しい週刊コラムだ。デッキを改良する工夫はマジックの最も難しい部分のひとつであり、そして私はそれを助けるためにここにいる。

このコラムは君のためにある!毎週、私は読者のデッキリストを受け取り、その製作者がデッキをどう変化させたいのかを把握して、そして適切に組み直そう。

クールなアイデアがあるのにデッキは君の思うように動かない?任せておけ。札束デッキ爆発しろ?大丈夫だ問題ない。何回やっても《秘密を掘り下げる者》が倒せない?絶対大丈夫だよ。

毎回最後には、我々はデッキ構築について何かしら身につけ、そして君は新しく試したいデッキリストをも手に入れるのだ!

聡明な君ならこのコラムが第一週だということから既に気付いているかもしれないが、今回は語るべき読者のデッキが無い。しかし幸いにも、代わりにコラムの第一週を始めるのにとても重要な事項がある:デッキ構築の基礎だ!

私のフューチャーフューチャーリーグでの活動とプロツアーデッキ構築の体験は、素早くデッキの特長と弱点を評価しそれらを適切に調整する鋭い目を養ってくれた。それらの教訓を皆に伝える良い機会だ。私はこれから何度もこの記事をリンクして理念を繰り返し説明するだろうが、初心者プレイヤーにはそれが前進する足がかりになるだろう。

さあみんな準備はいい?オッケー!いくわよ!



アーキタイプの点呼

全てのデッキはゴールを持つべきだ。

「ゲームに勝つ」のような曖昧なゴールのことを言っているのではない、君のデッキがどのようなプランであるのかというもっと重要で中心的な戦略のことを言っているのだ。そのデッキは攻撃的か防御的か?そのプランは対戦相手を乱すか自分を貫くか?君がどんな種類のデッキをプレイするかを把握することが、君がその戦略に向けてデッキの細部を決める助けになるだろう。

今日の広大で多彩な環境では、その全てを完璧に分類することは不可能だし、いくつかのデッキは複数のデッキタイプとしてプレイされる。しかし大まかには、私は6つのアーキタイプがあると考えている:アグロコントロール、ビートダウン、コンボ、コントロール、ミッドレンジ、ランプ。

君はどのようにデッキアーキタイプを確認するのか?どの種類のデッキをプレイしているのかを確認する最良の方法のひとつが、君がどのようにゲームを終えることを理想としているかを見ることだ。ゲーム終了時を見て、その道のりを開始時まで遡ることで、どんなカードが君を優位に運ぶのを助けるのかを理解するだろう。

それでは、これら6つのアーキタイプが望む最終局面を列記しよう。


アグロコントロール:いくつかの小さく軽く脆いクリーチャーが攻撃することでゲームを終える。墓地には、君が数点のダメージを毎ターン与え続ける間に対戦相手のゲームから逃げ切るための、打ち消しやバウンスのような妨害呪文がある。

例:《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》, 《神秘の蛇/Mystic Snake》, 《統一された意思/Unified Will》。


ビートダウン:いくつもの軽いクリーチャーが攻撃するか火力呪文を対戦相手に示すことでゲームを終える。多くのゲームは早く開始6ターン以内に終わる。

例:《黒焦げ/Char》, 《板金鎧の土百足/Plated Geopede》, 《野生のナカティル/Wild Nacatl》。


コンボ:特別な組合せの2枚以上のカードが強烈な一撃を加えることでゲームを終える。しばしば、墓地にはコンボパーツを探すためのライブラリー操作やデッキサーチで一杯になっている。

例:《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》+《欠片の双子/Splinter Twin》, 《Demonic Tutor》, 《思案/Ponder》。


コントロール:君が対処することで対戦相手のリソースは底をつき長い長いターンの末にゲームを終える。君はひとつの大きな脅威で対戦相手を数ターン殴るか、君のプレインズウォーカーが奥義に至るだろう。君の墓地には除去呪文、全体除去、カウンター、プレインズウォーカー、その他生き残りカードアドバンテージを生むためのカードで満たされている。

例:《審判の日/Day of Judgment》, 《雲散霧消/Dissipate》, 《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》。


ミッドレンジ:いくつかの大きな3~6マナのクリーチャー(マナ加速された場合もある)が攻撃することでゲームを終える。あるいは、プレインズウォーカーが奥義に至るかもしれない。墓地には一握りの除去呪文などの妨害手段があるだろう。

例:《瀝青破/Bituminous Blast》; 《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》; 《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》。


ランプ:君にいくつもの土地がありひとつの大きな脅威(稀にとても大きなふたつの脅威)が君を勝利に導くことでゲームを終える。墓地と戦場にはマナ加速が一杯で、全体除去や単体除去がある場合もある。

例:《原始のタイタン/Primeval Titan》, 《不屈の自然/Rampant Growth》, 《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》.


デッキにふたつのアーキタイプを融合させることもできるだろうが、基本的には本筋を壊してしまう危険があるのでそれ以上を望んではならない。多角度から競争しようとするストレスで、デッキプランはすぐに崩れてしまう。

君のデッキが何を達成しようとしているのかを理解し、君がデッキをどう修正すべきなのかをより明確にしよう。君のデッキがビートダウンしようとすることを確認したならば、例えば、6マナのクリーチャーを抜くべきなのは明白だ。君のデッキがふたつのアーキタイプの間で曖昧だと発見したならば、妨害手段かクリーチャーを加えてより明確にしてやるべきだと理解することができる。君が何を目指しているのかを知ることが、デッキ構築の第一歩だ。



マナ基盤の真価

私の父はマジックについて知らない。ゲームをしたことが無い彼の目には、私が呪文を唱えるためにマナをタップするのはまるでアヴァンギャルドなダンスでもしているかのように映るだろう。

彼はマジックについては知らないが、人生において重要なことをたくさん知っている。ある日彼は、今まで皆が私にくれた中でも最高のアドバイスをくれた。「土地?え?私はこのゲームについて何も知らないよ、でも私は建築の仕事で資産は本当に重要だと知っている。君は十分の有用な資産を持っていなければならない。」

私の見る人たちがデッキの中で常に犯してしまう一番の失敗は、マナベースから生じる。

本当に土地は退屈だ。君は(叶うなら)毎ターンひとつプレイし、そしてそれらは、ただそこにあるだけ。一方でクリーチャーや呪文は刺激的だ!これらは複雑な能力を持ち、対戦相手と影響し合い、そして歓声を巻き起こす。

呪文のために土地を切り詰めてしまう問題はこれだ...君が強力な呪文を唱えるためにはまず第一に土地を必要とするというのに!

土地を少なめに採用するのは、マジックの古典的な失敗のひとつで、そしたらもうマナ板の上の鯉も同然だ。土地をより多く採用することは、君に計画通りに呪文を唱えさせ、更にマリガン地獄を減らしてくれる。君がマナ事故でお手上げになることなく君の呪文とプレイスキルで勝利を問う事ができるなら、君の勝率は上がるだろう、

良いニュースだ、強力な効果を使う機会を減らすことなく多くの土地を出すすばらしい方法が昨今は豊富にある。我々は《ケッシグの狼の地》や《大天使の霊堂》のような土地を印刷し続けているが、その多くの理由のひとつはプレイヤーに正しい使用法で彼らのデッキに土地を追加させるためだ。

君が土地を2枚追加しても、両方とも特別な効果を持っているのなら、君はマナベースを補強しながらデッキのパワー密度を一定に保つことができるだろう。更に、もし君がマナフラッドを起こしたとしても、能力を持つ土地はいつでもマナの使い道を与えてくれる。普通、8枚目の土地など必要ないが、しかし君が《大天使の霊堂》を起動するのと一緒に呪文を唱えたい場合にはそれらの土地は非常に役立つ。

要するに、私のデッキは君にとって土地が通常より1~2枚多く歪めてしかも特別な土地が数枚入っているが、それはこの方がよりよくデッキが働いてくれると信じているからだ。

まるで君を納得させ足りないように、君にもっと土地を加えるよう勧めよと私の周りを巡り囁くミーム(※)さえある。それならば、このミームは君を誤りに導いたことがあったか?
(※「meme」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%A0)

最後に、土地についてもうひとつメモ:マナ基盤は決して無駄な場所ではない。もし君が低予算を望むとしても、土地は私が絶対に妥協しない領域のひとつだ。君が日々を費やしてトレードしたデッキの土地でないカードは、君の基本土地のみの3色マナ基盤が唱えることを許さなければ、決して君を助けてはくれない。



カード枚数の解釈

私が調整不足で枚数が適当なデッキに目を通したとき、デッキの全てのカードは「一体俺たちを何枚入れる気だ?」という疑問を投げているようだ、弁解はいつも:デッキに入る全てのカードの適正な枚数を導くのは難しいから。

カードを2枚入れるのと4枚入れるのの間にはとんでもない違いがある。幸いにも、君がカードの適正な枚数を選ぶのを助けてくれるデッキ構築の指針がいくつもある。これらは明確で不変なルールではないものの、君が迷うときにはよい指針となるだろう。

それぞれの枚数を降順で見ていこう。


4枚:デッキの主力

君が4枚入れるカードは君のデッキの主力となる。君はそれらのカードを多く見るのを望み、大抵それらは君のデッキの中で特に強力なカードだ。多くの場合、それらは君が何故その特定のデッキをプレイするかという原動力であろう。

有名なプロプレイヤーのMichael Jacobは「4枚入れるカードは3枚引いても嬉しいカードさ」と言い、私もそれに賛同する。

4枚使うカードのに適切な理由は:

・そのカードは君のデッキの中で極めて強力である。そのカードは単独でとても強くて君はできるだけ多く引けると嬉しい。少々コストが重くても、君はいつだってそのカードを可能な限り多く引きたい。
・君はいつもそのカードを早く引きたい。そのカードを毎回早いターンに手に入れたいのなら、それは4枚入れるべきだ。例えそのカードはゲームが長引くにつれ弱くなるとしても、それが序盤に強力であるならば4枚入れる価値がある。
・そのカードは複数枚あることで強くなる。君が引けば引くだけそのカードが強くなるのなら、それを複数枚引けるようにスペースを開けるべきだ。
・そのカードはどの時点でも強い。2ターン目でも10ターン目でも変わらず良いカードなら、それは入れられるだけ入れるべきだ。それはいつ引いても悪くないはずだから。


3枚:1枚引ければ十分

カードを4枚入れるのは、大抵それをいつ引いても嬉しいことを意味するが、3枚入れる場合、君は特定の状況でのみ引くことを望むことを意味する。それはどんな状況か?こいつを見てくれ。

・そのカードは強いが君のデッキには重い。軽いカードは序盤で引くと強くそれで4枚入れるのが正解だが、君は重くて足が止まるカードを手に抱えることを望まないだろう。《ワームとぐろエンジン》のようなカードは強い、そして君は1枚は引きたい、しかし序盤に2枚も3枚も引いたそれらを腐らせるような余裕は無いので、ランプデッキ以外に4枚入ることは稀にしか無い。
・そのカードは特定の場面で役立つ。そのカードは他のカードと組み合わせることで強いが、それ単独では弱い。その代表例はオーラや装備品のようなものだろう。《天使の運命》はとても強力だが、これを4枚も入れると3枚手に引いてしまう危険を孕んでいるので、大抵のデッキはそんな危険を冒すことはできない。
・君が序盤に複数引くのを望まない。重いカードを引きすぎるのは手札に留まるため悪いのと同じように、そのカードを君が引けば引くほどカードの価値が失われる。除去されにくい伝説のクリーチャーはこの好例だ:君はゲーム序盤に《死体生まれのグリムグリン》を2枚引くことは望まないだろう。
・3対1に分割する。これは、あるカードが4枚は入らないということではなく、4枚入るカードを分割したということだ。君は3枚の同じカードと1枚のそれと似たカードを使いたくなることもあるだろう。《瞬唱の魔道士》はその良い理由となる適切な例だ。君は概ね同じ役割を果たすという理屈の下で3枚の《喉首狙い》と1枚の《破滅の刃》を入れるかもしれない、しかしその多様性はゲーム終盤において《瞬唱の魔道士》が追加の選択肢を得る可能性を意味する。


2枚:引けなくても問題無い

2枚は基本的に私は避けたい枚数だ。2枚入れるのはどのカードが良いか悪いかか知るのに充分なプレイテストができなかったことを意味し、大きな失敗を避けるために2枚になることがほとんどだ。

カードを2枚入れるのには多少なり良い理由もあるが、基本的に私は可能なら他の枚数を支持する。

・そのカードは本当に状況に依存する。ときおり、メタゲーム戦略の揺らぎの中で、君は特定のデッキに対して強いが本来はサイドボードに入れられるべきカードがメインデッキに欲しくなる。それはギャンブルであり、君はそれらが弱点となるマッチでそれを引きすぎる危険を冒したくない。例えば、君は《瞬間凍結》をメインデッキに入れると、相性の良いマッチでそれを引ければ素晴らしく-そしてそれ以外ではQuizno(※米国のサンドイッチ店)のギフトカードを引くようなものだ。
・とても重たいフィニッシャー。君が極端なコントロールデッキを持つのなら、序盤にこれらの極端に重いクリーチャーを引く可能性を減らしたいだろう。
・2対2に分割する。前述した3対1に分割するのと似ている、こちらは2種類のカードを等しい確率で引くことを優先する場合だ。
・4枚では足らないカードを追加する。4枚では十分ではないこともある。ある種類の呪文の使用を君のデッキが必要としてそして環境に余剰が存在するならば、君はあるカード4枚を6枚に変えることができる。例えば、2枚の《強迫》を4枚の《思考囲い》に加えたり、2枚の《マナの税収》を4枚の《魔力の乱れ》に加えたりね。


1枚:ひょっとしたら引くかも

私が1枚挿しの興奮を大好きだというのはとりあえず脇に置いておこう。でもそうだよね?君は稀にしかそれらを引かないが、君がそれらを有効活用できればゲームの流れを変えうる画期的なカードが君に柔軟性を与えてくれる。

・教示者で探す。君が特定のカードを探す手段を有しているならば、それはデッキに何枚かのカードを1枚挿しにする価値を生む。1枚のカードの出番で、君は《Demonic Tutor》のような呪文を唱えるたびに膨大な柔軟性を得る。
・ゲームを動かすもの。君は準備が難しくていつも良いわけでは無いが機能すると驚くほど強いカードを1枚挿しにする、例えば《ロクソドンの戦槌》は当時のスタンダードでよく1枚挿しされた。それはいつも良いわけではないが、しかし遅いゲームにおいては膠着を破ってゲームを決める。
・多様化。前述した分割の追加で、遅いコントロールデッキがゲーム終盤にさらなる選択肢を得るために似たカードを混ぜて入れたくなることもある。《墓所のタイタン》《太陽のタイタン》そして《ワームとぐろエンジン》はどれも単体で勝利まで導いてくれるほど強力な脅威だ。しかしながら、君がどちらを持っているかが重要なゲームにおいては、同じものを2枚引くよりも複数の1枚挿しから選ぶことができる方が良い。
・4枚では足らないカードを追加する。カードを2枚入れることの項で説明した通りだ。



サイドボードの表側

サイドボードについては今日は軽く触る程度だが、しかし来週からのために基礎を築きたい。

サイドボードは信じられないほど過小評価されているが、それ故に成功するデッキの大きな秘訣でもある。大抵の人はサイドボードを組むときにこんな方法を取っているんじゃないかな:
4 対赤カード
4 除去
3 帰化
2 墓地掃除
2 ハンデスかカウンター

サイドボードを組むのに使われるプロセスこの手順はシンプルだ:君はフォーマットを見渡して名簿に印を押すが如く特定のデッキへの対策カードをあてはめるだけ。しかしながら、そんなものは明確なプランで満たされたサイドボードのようには君を助けてくれない。

私がサイドボードを組むとき、私は対策カードを探さない-私が探すのはマッチアップのためのプランだ。もちろん、《鍛えられた鋼》デッキに対して3枚の《帰化》を入れることもできるだろう、で、いくつかアーティファクトを割って、だからなに?そんなものはプランじゃない。

サイドボードのプランは君がそのマッチアップでどう戦うかを決定付けるものであり、効果的に行なわれなければならない。例えば、《鍛えられた鋼》デッキに対する基本的なプランはこれだ、

「除去による1対1交換を積んだサイドボードで《死の支配の呪い》着地までの時間を稼ぐ。《帰化》は《呪い》を乗り越えられないように《鍛えられた鋼》のために温存する。」

あるいは

「クリーチャーは相打ちを繰り返して《帰化》はできるだけ《鍛えられた鋼》のために持ち、サイドインした《ケッシグの檻破り》での数回の攻撃で相手を倒す。」

私は普通考えないような「サイドボードオプション」として常識はずれなカードを君に推薦するかもしれない-しかしそれらはすべてプランに必要なものだ。サイドボードを組む時には、カードが何をするかよりも何を入れ何を抜くのかという全体的なプランを探すべきである。



それでは再構築を始めよう

コメント

生命散らしの小走り破滅ASA
2012年6月1日8:12

> マナ板の上の鯉
うまいですねw

ふみ(旧)
2012年6月2日0:37

ちなみに原文では「アシカが陸上の戦いに参加するようなものだ」でした。
超改変乙

くうご
2012年6月3日23:15

GPTのジャッジお疲れ様でした。
スムーズな進行で気持ちの良い大会でした。
少し前のCBLで対戦させていただいたZoo使っていた者です。
勝手ながらリンクさせていただきました。
よろしくお願いします。

ふみ(旧)
2012年6月4日1:23

ありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いします。

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