前回の↓が意外と好評だったので続けてみる。
誰得企画:Pauperなんてマイナーなフォーマットの開始から現在までのメタの変遷
http://mtg2384.diarynote.jp/201101080243335422/
10秒でわかる前回のまとめ(2010年12月まで)
色々あったけど『赤単ゴブリン』と『青単クロックパーミッション』が強かったよ!
MBSが追加されてから『金属術親和』『青赤ポスト』『青白黒ストーム』が出てきたよ!
今のところ『赤単ゴブリン』が強いけどこれからどうなるかな?
というわけで今回は、12月を多少振り返るところから始めて現在までのメタの動きを見ていきます。
あと、前回はデッキ名だけ挙げて中身は何も説明してなかったので、今回はサンプルのデッキリストなんて挙げながらやっていきます。
○~12月中旬
『赤単ゴブリン』一強で、他の四つのデッキに大きな差を付けていました。
結論を先に言ってしまうと、それからもずっと『赤単ゴブリン』はTier1であり続けています。11月頃が特に『赤単ゴブリン』が溢れており、その頃に比べると全体の中での比率は少なめなので、今はまだ他のデッキにも人権がある方です。
1年半前に結果を残して以来『赤単ゴブリン』は常にメタに絡み続けており、幾度か強力な対抗馬が現れてトップを明け渡したことがあるものの、その度に復活してトップを取り返しています。そんな環境なので、Pauperのメタを考察する際にはどうしても「現在の『赤単ゴブリン』の対抗馬は何か?」的な考え方になってしまいます。これから先はそれを前提に読んでください。
Pauperでの『赤単ゴブリン』はレガシーでの『ゴブリン』とは違い速度に特化しており、レガシーでの『Zoo』に近い立場です。
一般的なリストでも1マナ域生物が20枚以上で、ほとんどの場合3マナ生物は不採用。Pauperは全体除去が乏しいという環境の特性に対し、1T目からマナレシオの良い生物をどんどん横に並べて《ゴブリンの奇襲隊》と火力で一気に押し切ります。《ゴブリンの群勢》や《モグの下働き》のデメリットをできるだけ無視できるようにデッキが組まれており、デッキが金太郎飴な上に同型再版で実質8枚入っているカードがあるため動きも安定しています。易い速い強いと三拍子揃っている上に多少の相性差ならひっくり返すくらいのブン回りもあります。
○12月下旬~1月上旬
ME4追加により『金属術親和』が強化されました。
Pauperでの『親和』はレガシーの『親和』とは違い、《羽ばたき飛行機械》のような0マナ生物はおらず《頭蓋囲い》も禁止されているため、速度に特化したデッキではありません。序盤から4/4を連打してサイズで踏み荒らすという、やることが単純に強い類のデッキです。
ME4で《エイトグ》がコモンで収録されたことで、能動的に《大霊堂の信奉者》の能力を誘発させるいわゆる『グレ神話』の動きが可能になりました。《大霊堂の信奉者》の能力を誘発させること自体は以前から《クラーク族のシャーマン》と組み合わせることで可能でしたが、《クラーク族のシャーマン》はどちらかと言えば特定のデッキに対するメタカードである上に、単体での殴り値が低くデッキ全体の動きに合っていないことが問題でしたが、より能動的に能力を使える上に単体でも強力に殴れる《エイトグ》が入ったことで、デッキとしてのまとまりが良くなりました。
単純なデッキパワーが高い上にブン回りもあり、トップメタの『赤単ゴブリン』に対してもサイズで勝負できるため、『金属術親和』は『赤単ゴブリン』をも凌ぐほどの勢いを得ます。しかし、手札の消費が激しく生物を丁寧に除去されるとすぐに息切れしてしまう上、アーティファクト破壊というわかりやすい弱点まであるため、活躍しすぎた『金属術親和』は強力にメタられてしまいました。現在もTier2として活躍していますが、この頃のような勢いはもうありません。
○1月中旬
『青赤ポスト』はこの頃に大きく出世しました。
環境一番の低速コントロールデッキです。
火力で場をコントロールしながら神座を揃え、《雲上の座》からの重いスペルでフィニッシュします。初動が遅いという弱点を《微光地》が補ってくれ、クロックの細いデッキが相手ならばアドバンテージ勝負になるまで充分に持ちこたえられます。二色デッキで無色ランド8枚という土地事情を支えている影の立役者が《予言のプリズム》で、これを頼りに三色目をタッチすることも多いです。あとはメタる相手によって色々と変わります。
SOMが追加されてからすぐに増加し、12月の中旬には『金属術親和』と共に『赤単ゴブリン』の対抗馬でしたが、『金属術親和』が強化されて一時的にTier2に追いやられました。しかしその後『金属術親和』をメタることで再び数を増やしました。単純にデッキパワーはかなり高いのですが、低速のコントロールデッキは受動的に動くためにどうしてもメタる相手を選ばなければ勝ち残れず、新しい強力なデッキが現れては対応し切れず数を減らして、そのデッキをメタって再び数を増やして、を繰り返しています。現在は『青白黒ストーム』に食われてTier2にいますが、近いうちによりコンボに強い形になってTier1に戻ってくると思います。
またこの頃から、長くメタに絡み続けていた『青単クロックパーミッション』が衰退していきます。
レガシーでは『青単クロックパーミッション』のようなデッキはほとんどありませんが、あえて挙げるなら『青緑スレッショルド』が動きが近いです。ただしマナ拘束戦略は当然できませんし、《タルモゴイフ》のような強力なクロックもいません。
このデッキは《呪文づまりのスプライト》や《尖塔のゴーレム》等の隙を作らないフィニッシャーをカウンターで守って勝ち逃げます。コントロール相手にアドバンテージ勝負になると弱いため、そうなる前にこの細いクロックで殴り切らなければなりません。
『青単クロックパーミッション』は非常に良いデッキですが、上記の通りクロックが細く、場に出てしまった脅威への解答も薄いため、一つ一つの動きが強いデッキではありません。このデッキが登場して一気に数が増えた頃の『赤単ゴブリン』の対抗馬は『青黒赤ストーム』『青系コントロール』『白単アグロ』だったため、コンボやコントロール相手にはカウンターを構えながら殴り切り、『白単アグロ』も生物のサイズは小さめだったので《流砂》や《海賊の魔除け》で充分に対処可能でした。しかし現在は、『青赤ポスト』には《微光地》でアドバンテージ勝負になるまで時間を稼がれ、『金属術親和』には序盤から4/4を連打され、メタ的に非常に弱い立場になってしまいました。この頃からどんどん数が減り、現在『青単クロックパーミッション』はほとんど見られなくなりました。より低速にシフトした『青単コントロール』なども試されていますが今のところメタに関わるような結果は残せていません。いつかコンボ過多なメタになればまた現れるかもしれません。
『青単クロックパーミッション』と入れ替わるようにメタに参戦してきたのが、『青黒赤ストーム』と『黒単コントロール』です。
Pauperでの『青黒赤ストーム』はレガシーの『ANT』のような立場です。
当然《むかつき》も《教示者》も無いため手札もマナも割とカツカツで、レガシーのコンボデッキと比べたら速度も安定性も低いですが、それでも対策を怠ると何もできずに《ぶどう弾》×20されたり、対策してても「1T目にゴブリンが10体並んだ」とかたまにあります。
かつて『赤単ゴブリン』すら食い散らかしたPauperを代表するコンボデッキですが、明確な対策が講じられ、更に『青単クロックパーミッション』にメタられてからは衰退し、あまり大きく活躍することはありませんでした。しかしそれでも根強い人気を誇り、またじわじわとその数を増やして現在もTier2にいます。
○1月下旬
『青黒赤ストーム』と共にメタに参戦してきた『黒単コントロール』は、この頃に大きく出世しました。
Pauper環境初期に『親和』『緑白スリヴァー』などのビートダウンの対抗馬として既にこれの原型となるデッキが存在していました。
《ファイレクシアの憤怒鬼》《騒がしいネズミ》などで相打ちを取りながらアドバンテージを稼ぎ、相手の手札が尽きた頃に自分のクロックが数体残って殴り勝つ、というデッキです。環境初期にはメインに積まれていた《堕落の触手》が現在はサイドになっていますが、その分ビートダウンに弱くなったかと言えばそうでもなく、環境初期には存在しなかった1マナ除去《見栄え損ない》により補強されています。軽い単体除去に加えて数少ない全体除去である《墓所のネズミ》まで備え、正面から攻めてくるビートダウンに対してかなり強いです。また、ハンデスによりコンボデッキに対してもメインからある程度有利に戦えます。さらに、相手が事故っているときには《騒がしいネズミ》がさながら《Time Walk》のように働き、『赤単ゴブリン』とはまた違ったブン回りができます。
しかし基本的にやることが地味で、アドバンテージもコツコツと積み重ねなければならず、クロックが大きくないため、自分よりも多くのアドバンテージを得られる相手が苦手で、『青赤ポスト』との相性はかなり悪いです。そのため上のリストなど復帰当初は《汚れ》がメインから積まれていましたが、ランデスを4枚積んだ程度では効果が薄く、現在はそのスロットは《よじれた嫌悪者》などに戻り、サイドからランデス8枚体制が一般的です。
とはいえ『青赤ポスト』以外のほとんどのデッキと戦えるため、現在もTier1に存在しています。
○2月上旬
この頃から『青白黒ストーム』が勢いを増します。
一部ではフリースペルストームなんて呼ばれてるデッキです。同じストームデッキでも『青黒赤ストーム』が『ANT』に近い動きなのに対し、これは『断絶デザイア』に近い動きをします。
《使い魔》や2マナランドを用意した上でフリースペルを唱えるとマナが増えるので、そのマナでドロー呪文を唱え、引いたフリースペルでマナを増やす、ということを繰り返します。こうしてストームとマナを稼いだ後に《時間の亀裂》で対戦相手のパーマネントを全て手札に戻し、ゆっくり殴り倒します。準備が必要なため『青黒赤ストーム』よりも始動が遅く、ブン回りで一気にコンボを決めることはできませんが、その分一度回り始めてしまえば安定してフィニッシュまで持っていくことができます。
構築されてからしばらくはTier2で燻っていましたが、最近どんどん数を増やし、現在はTier1の中でも特に良い結果を残しています。
○というわけで今は
Tier1
『青白黒ストーム』 (そうか僕は王子だったのか)
『赤単ゴブリン』 (ソリティアどっかいけ)
『黒単コントロール』(青赤ポスト帰ってくんなよ)
Tier2
『青赤ポスト』 (コンボとかメッタメタにしてやんよ!)
『金属術親和』 (俺ってそろそろメタり対象から外れるんじゃね?)
『青黒赤ストーム』 (ちょっコンボメタとかやめろし)
Rogue
『青単クロックパーミッション』(返事が無いただのしかば
(その他の多くのデッキ)
こんな感じになっています。
すごい久しぶりにまともなこと書いた気がする。
誰得企画:Pauperなんてマイナーなフォーマットの開始から現在までのメタの変遷
http://mtg2384.diarynote.jp/201101080243335422/
10秒でわかる前回のまとめ(2010年12月まで)
色々あったけど『赤単ゴブリン』と『青単クロックパーミッション』が強かったよ!
MBSが追加されてから『金属術親和』『青赤ポスト』『青白黒ストーム』が出てきたよ!
今のところ『赤単ゴブリン』が強いけどこれからどうなるかな?
というわけで今回は、12月を多少振り返るところから始めて現在までのメタの動きを見ていきます。
あと、前回はデッキ名だけ挙げて中身は何も説明してなかったので、今回はサンプルのデッキリストなんて挙げながらやっていきます。
○~12月中旬
『赤単ゴブリン』一強で、他の四つのデッキに大きな差を付けていました。
赤単ゴブリン/Goblin
2011 / 01 / 22 Pauper Event #2007096 第4位
使用者:Pedro_Kilpp
Main Deck
16《山/Mountain》
4《ゴブリンの付け火屋/Goblin Arsonist》
4《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker》
4《ゴブリンの群勢/Goblin Cohort》
4《ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder》
4《ジャッカルの使い魔/Jackal Familiar》
4《モグの徴集兵部隊/Mogg Conscripts》
4《モグの下働き/Mogg Flunkies》
4《モグの略奪者/Mogg Raider》
4《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》
4《Chain Lightning》
4《稲妻/Lightning Bolt》
Sideboard
2《鋭い痛み/Flaring Pain》
4《紅蓮破/Pyroblast》
3《倒壊/Raze》
3《地鳴りの揺るぎ/Seismic Shudder》
3《粉々/Smash to Smithereens》
結論を先に言ってしまうと、それからもずっと『赤単ゴブリン』はTier1であり続けています。11月頃が特に『赤単ゴブリン』が溢れており、その頃に比べると全体の中での比率は少なめなので、今はまだ他のデッキにも人権がある方です。
1年半前に結果を残して以来『赤単ゴブリン』は常にメタに絡み続けており、幾度か強力な対抗馬が現れてトップを明け渡したことがあるものの、その度に復活してトップを取り返しています。そんな環境なので、Pauperのメタを考察する際にはどうしても「現在の『赤単ゴブリン』の対抗馬は何か?」的な考え方になってしまいます。これから先はそれを前提に読んでください。
Pauperでの『赤単ゴブリン』はレガシーでの『ゴブリン』とは違い速度に特化しており、レガシーでの『Zoo』に近い立場です。
一般的なリストでも1マナ域生物が20枚以上で、ほとんどの場合3マナ生物は不採用。Pauperは全体除去が乏しいという環境の特性に対し、1T目からマナレシオの良い生物をどんどん横に並べて《ゴブリンの奇襲隊》と火力で一気に押し切ります。《ゴブリンの群勢》や《モグの下働き》のデメリットをできるだけ無視できるようにデッキが組まれており、デッキが金太郎飴な上に同型再版で実質8枚入っているカードがあるため動きも安定しています。易い速い強いと三拍子揃っている上に多少の相性差ならひっくり返すくらいのブン回りもあります。
○12月下旬~1月上旬
ME4追加により『金属術親和』が強化されました。
金属術親和/Metalcraft Affinity
2011 / 01 / 10 Pauper Event #1953965 4-0
使用者:twoduckcubed
Main Deck
1《古えの居住地/Ancient Den》
4《大焼炉/Great Furnace》
4《教議会の座席/Seat of the Synod》
4《伝承の樹/Tree of Tales》
4《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》
4《エイトグ/Atog》
4《甲殻の鍛冶工/Carapace Forger》
4《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
4《金属ガエル/Frogmite》
4《マイアの処罰者/Myr Enforcer》
4《彩色の星/Chromatic Star》
4《感電破/Galvanic Blast》
4《水蓮の花びら/Lotus Petal》
3《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》
2《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
2《テラリオン/Terrarion》
4《物読み/Thoughtcast》
Sideboard
2《汚染された地/Contaminated Ground》
3《真紅の見習い僧/Crimson Acolyte》
3《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》
2《クラーク族のシャーマン/Krark-Clan Shaman》
4《紅蓮破/Pyroblast》
1《倒壊/Raze》
Pauperでの『親和』はレガシーの『親和』とは違い、《羽ばたき飛行機械》のような0マナ生物はおらず《頭蓋囲い》も禁止されているため、速度に特化したデッキではありません。序盤から4/4を連打してサイズで踏み荒らすという、やることが単純に強い類のデッキです。
ME4で《エイトグ》がコモンで収録されたことで、能動的に《大霊堂の信奉者》の能力を誘発させるいわゆる『グレ神話』の動きが可能になりました。《大霊堂の信奉者》の能力を誘発させること自体は以前から《クラーク族のシャーマン》と組み合わせることで可能でしたが、《クラーク族のシャーマン》はどちらかと言えば特定のデッキに対するメタカードである上に、単体での殴り値が低くデッキ全体の動きに合っていないことが問題でしたが、より能動的に能力を使える上に単体でも強力に殴れる《エイトグ》が入ったことで、デッキとしてのまとまりが良くなりました。
単純なデッキパワーが高い上にブン回りもあり、トップメタの『赤単ゴブリン』に対してもサイズで勝負できるため、『金属術親和』は『赤単ゴブリン』をも凌ぐほどの勢いを得ます。しかし、手札の消費が激しく生物を丁寧に除去されるとすぐに息切れしてしまう上、アーティファクト破壊というわかりやすい弱点まであるため、活躍しすぎた『金属術親和』は強力にメタられてしまいました。現在もTier2として活躍していますが、この頃のような勢いはもうありません。
○1月中旬
『青赤ポスト』はこの頃に大きく出世しました。
青赤ポスト/UR Post
2011 / 02 / 04 Pauper Event #2044688 4-0
使用者:Butakov
Main Deck
4《雲上の座/Cloudpost》
4《微光地/Glimmerpost》
6《島/Island》
2《イゼットの煮沸場/Izzet Boilerworks》
5《山/Mountain》
2《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
1《記憶の壁/Mnemonic Wall》
1《熟考漂い/Mulldrifter》
2《ウラモグの破壊者/Ulamog’s Crusher》
1《弧状の稲妻/Arc Lightning》
1《転覆/Capsize》
4《強迫的な研究/Compulsive Research》
4《卑下/Condescend》
3《探検の地図/Expedition Map》
2《炎の稲妻/Firebolt》
2《炎の斬りつけ/Flame Slash》
3《稲妻/Lightning Bolt》
4《マナ漏出/Mana Leak》
1《深遠の謎/Mysteries of the Deep》
1《神秘の指導/Mystical Teachings》
4《予言のプリズム/Prophetic Prism》
2《とどろく雷鳴/Rolling Thunder》
1《よろめきショック/Staggershock》
Sideboard
2《地の裂け目/Earth Rift》
1《溶暗/Fade Away》
1《炎の斬りつけ/Flame Slash》
1《熟考漂い/Mulldrifter》
4《否認/Negate》
4《石の雨/Stone Rain》
2《微震/Tremor》
環境一番の低速コントロールデッキです。
火力で場をコントロールしながら神座を揃え、《雲上の座》からの重いスペルでフィニッシュします。初動が遅いという弱点を《微光地》が補ってくれ、クロックの細いデッキが相手ならばアドバンテージ勝負になるまで充分に持ちこたえられます。二色デッキで無色ランド8枚という土地事情を支えている影の立役者が《予言のプリズム》で、これを頼りに三色目をタッチすることも多いです。あとはメタる相手によって色々と変わります。
SOMが追加されてからすぐに増加し、12月の中旬には『金属術親和』と共に『赤単ゴブリン』の対抗馬でしたが、『金属術親和』が強化されて一時的にTier2に追いやられました。しかしその後『金属術親和』をメタることで再び数を増やしました。単純にデッキパワーはかなり高いのですが、低速のコントロールデッキは受動的に動くためにどうしてもメタる相手を選ばなければ勝ち残れず、新しい強力なデッキが現れては対応し切れず数を減らして、そのデッキをメタって再び数を増やして、を繰り返しています。現在は『青白黒ストーム』に食われてTier2にいますが、近いうちによりコンボに強い形になってTier1に戻ってくると思います。
またこの頃から、長くメタに絡み続けていた『青単クロックパーミッション』が衰退していきます。
青単クロックパーミッション/Blue Clock Permission
2010 / 12 / 25 Pauper Event #190645 4-0
使用者:Plaguelord01
Main Deck
18《島/Island》
4《流砂/Quicksand》
2《熟考漂い/Mulldrifter》
4《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》
4《やっかい児/Pestermite》
4《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》
4《尖塔のゴーレム/Spire Golem》
4《対抗呪文/Counterspell》
4《魔力の乱れ/Force Spike》
4《海賊の魔除け/Piracy Charm》
4《定業/Preordain》
4《禁制/Prohibit》
Sideboard
2《払拭/Dispel》
2《残響する真実/Echoing Truth》
2《妨害の接触/Hindering Touch》
4《水流破/Hydroblast》
1《熟考漂い/Mulldrifter》
4《シー・スプライト/Sea Sprite》
レガシーでは『青単クロックパーミッション』のようなデッキはほとんどありませんが、あえて挙げるなら『青緑スレッショルド』が動きが近いです。ただしマナ拘束戦略は当然できませんし、《タルモゴイフ》のような強力なクロックもいません。
このデッキは《呪文づまりのスプライト》や《尖塔のゴーレム》等の隙を作らないフィニッシャーをカウンターで守って勝ち逃げます。コントロール相手にアドバンテージ勝負になると弱いため、そうなる前にこの細いクロックで殴り切らなければなりません。
『青単クロックパーミッション』は非常に良いデッキですが、上記の通りクロックが細く、場に出てしまった脅威への解答も薄いため、一つ一つの動きが強いデッキではありません。このデッキが登場して一気に数が増えた頃の『赤単ゴブリン』の対抗馬は『青黒赤ストーム』『青系コントロール』『白単アグロ』だったため、コンボやコントロール相手にはカウンターを構えながら殴り切り、『白単アグロ』も生物のサイズは小さめだったので《流砂》や《海賊の魔除け》で充分に対処可能でした。しかし現在は、『青赤ポスト』には《微光地》でアドバンテージ勝負になるまで時間を稼がれ、『金属術親和』には序盤から4/4を連打され、メタ的に非常に弱い立場になってしまいました。この頃からどんどん数が減り、現在『青単クロックパーミッション』はほとんど見られなくなりました。より低速にシフトした『青単コントロール』なども試されていますが今のところメタに関わるような結果は残せていません。いつかコンボ過多なメタになればまた現れるかもしれません。
『青単クロックパーミッション』と入れ替わるようにメタに参戦してきたのが、『青黒赤ストーム』と『黒単コントロール』です。
青黒赤ストーム/UBR Storm
2011 / 01 / 22 Pauper Event #2007096 優勝
使用者:PedroFrancisco
Main Deck
4《古き泉/Ancient Spring》
2《地熱の割れ目/Geothermal Crevice》
2《用水路/Irrigation Ditch》
4《硫黄孔/Sulfur Vent》
4《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》
4《彩色の宝球/Chromatic Sphere》
4《彩色の星/Chromatic Star》
4《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
4《ぶどう弾/Grapeshot》
4《留まらぬ発想/Ideas Unbound》
4《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4《魔力変/Manamorphose》
4《思案/Ponder》
4《炎の儀式/Rite of Flame》
4《血の署名/Sign in Blood》
Sideboard
3《綿密な分析/Deep Analysis》
2《ディミーアの水路/Dimir Aqueduct》
2《強迫/Duress》
1《残響する衰微/Echoing Decay》
1《鋭い痛み/Flaring Pain》
2《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker》
2《煮えたぎる歌/Seething Song》
2《引き裂かれた記憶/Shred Memory》
Pauperでの『青黒赤ストーム』はレガシーの『ANT』のような立場です。
当然《むかつき》も《教示者》も無いため手札もマナも割とカツカツで、レガシーのコンボデッキと比べたら速度も安定性も低いですが、それでも対策を怠ると何もできずに《ぶどう弾》×20されたり、対策してても「1T目にゴブリンが10体並んだ」とかたまにあります。
かつて『赤単ゴブリン』すら食い散らかしたPauperを代表するコンボデッキですが、明確な対策が講じられ、更に『青単クロックパーミッション』にメタられてからは衰退し、あまり大きく活躍することはありませんでした。しかしそれでも根強い人気を誇り、またじわじわとその数を増やして現在もTier2にいます。
○1月下旬
『青黒赤ストーム』と共にメタに参戦してきた『黒単コントロール』は、この頃に大きく出世しました。
黒単コントロール/Black Control
2011 / 01 / 31 Pauper Event #2022715 4-0
使用者:Plaguelord01
Main Deck
23《沼/Swamp》
3《騒がしいネズミ/Chittering Rats》
4《墓所のネズミ/Crypt Rats》
1《大牙の衆の忍び/Okiba-Gang Shinobi》
4《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager》
4《貪欲なるネズミ/Ravenous Rats》
3《汚れ/Befoul》
4《堕落/Corrupt》
4《見栄え損ない/Disfigure》
3《闇の掌握/Grasp of Darkness》
4《血の署名/Sign in Blood》
3《発掘/Unearth》
Sideboard
3《押し寄せる砂/Choking Sands》
3《破滅の刃/Doom Blade》
4《強迫/Duress》
2《大牙の衆の忍び/Okiba-Gang Shinobi》
3《堕落の触手/Tendrils of Corruption》
Pauper環境初期に『親和』『緑白スリヴァー』などのビートダウンの対抗馬として既にこれの原型となるデッキが存在していました。
《ファイレクシアの憤怒鬼》《騒がしいネズミ》などで相打ちを取りながらアドバンテージを稼ぎ、相手の手札が尽きた頃に自分のクロックが数体残って殴り勝つ、というデッキです。環境初期にはメインに積まれていた《堕落の触手》が現在はサイドになっていますが、その分ビートダウンに弱くなったかと言えばそうでもなく、環境初期には存在しなかった1マナ除去《見栄え損ない》により補強されています。軽い単体除去に加えて数少ない全体除去である《墓所のネズミ》まで備え、正面から攻めてくるビートダウンに対してかなり強いです。また、ハンデスによりコンボデッキに対してもメインからある程度有利に戦えます。さらに、相手が事故っているときには《騒がしいネズミ》がさながら《Time Walk》のように働き、『赤単ゴブリン』とはまた違ったブン回りができます。
しかし基本的にやることが地味で、アドバンテージもコツコツと積み重ねなければならず、クロックが大きくないため、自分よりも多くのアドバンテージを得られる相手が苦手で、『青赤ポスト』との相性はかなり悪いです。そのため上のリストなど復帰当初は《汚れ》がメインから積まれていましたが、ランデスを4枚積んだ程度では効果が薄く、現在はそのスロットは《よじれた嫌悪者》などに戻り、サイドからランデス8枚体制が一般的です。
とはいえ『青赤ポスト』以外のほとんどのデッキと戦えるため、現在もTier1に存在しています。
○2月上旬
この頃から『青白黒ストーム』が勢いを増します。
青白黒ストーム/UWB Storm
2011 / 02 / 06 Pauper Event #2044726 4-0
使用者:Mr Slippery 39
Main Deck
4《アゾリウスの大法官庁/Azorius Chancery》
3《ディミーアの水路/Dimir Aqueduct》
3《進化する未開地/Evolving Wilds》
5《島/Island》
1《平地/Plains》
1《沼/Swamp》
4《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
4《フェアリーの大群/Cloud of Faeries》
1《記憶の壁/Mnemonic Wall》
4《熟考漂い/Mulldrifter》
4《夜景学院の使い魔/Nightscape Familiar》
4《陽景学院の使い魔/Sunscape Familiar》
4《強迫的な研究/Compulsive Research》
4《綿密な分析/Deep Analysis》
3《予感/Foresee》
4《大あわての捜索/Frantic Search》
4《断絶/Snap》
3《時間の亀裂/Temporal Fissure》
Sideboard
1《転覆/Capsize》
4《ガリーナの騎士/Galina’s Knight》
4《水流破/Hydroblast》
3《孤独な宣教師/Lone Missionary》
3《虹色の断片/Prismatic Strands》
一部ではフリースペルストームなんて呼ばれてるデッキです。同じストームデッキでも『青黒赤ストーム』が『ANT』に近い動きなのに対し、これは『断絶デザイア』に近い動きをします。
《使い魔》や2マナランドを用意した上でフリースペルを唱えるとマナが増えるので、そのマナでドロー呪文を唱え、引いたフリースペルでマナを増やす、ということを繰り返します。こうしてストームとマナを稼いだ後に《時間の亀裂》で対戦相手のパーマネントを全て手札に戻し、ゆっくり殴り倒します。準備が必要なため『青黒赤ストーム』よりも始動が遅く、ブン回りで一気にコンボを決めることはできませんが、その分一度回り始めてしまえば安定してフィニッシュまで持っていくことができます。
構築されてからしばらくはTier2で燻っていましたが、最近どんどん数を増やし、現在はTier1の中でも特に良い結果を残しています。
○というわけで今は
Tier1
『青白黒ストーム』 (そうか僕は王子だったのか)
『赤単ゴブリン』 (ソリティアどっかいけ)
『黒単コントロール』(青赤ポスト帰ってくんなよ)
Tier2
『青赤ポスト』 (コンボとかメッタメタにしてやんよ!)
『金属術親和』 (俺ってそろそろメタり対象から外れるんじゃね?)
『青黒赤ストーム』 (ちょっコンボメタとかやめろし)
Rogue
『青単クロックパーミッション』(返事が無いただのしかば
(その他の多くのデッキ)
こんな感じになっています。
すごい久しぶりにまともなこと書いた気がする。
コメント
MTG始めたばかりの頃に使ってたカードが多くてなんだか感慨深いです。
どうなんでしょ?あまり当たってないので正直わかりません。
初めて黒単で相手したときにすごいキツかったから、そっちメタかと思ってました。
>ボードウォーカーさん
どうもです。